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15分

League of Robot Runners 2026:RovnouがCombined Track 8位

League of Robot RunnersMAPFcompetitionmulti-robotRovnou

Rovnouは、Amazon Roboticsがスポンサーを務める大規模マルチロボット協調コンテスト「League of Robot Runners 2026」に参加しました。

メインラウンドの提出システムが閉じた時点で、Rovnouは公式Leaderboardの Combined Track 8位 です。表示上68件中8位(上位約12%)、スコア 5.55、完了タスク 134,905件。提出詳細に表示されたチームサイズは1名でした。

締切時点Leaderboard

上位3チームとRovnouの結果は次の通りです。

順位チームスコア
1No Man's Sky10.629
2SmartPath9.639
3Trzy Kwaterki7.034
8Rovnou5.55

Rovnouのスコアを構成したインスタンス別結果は次の通りです。

インスタンス完了タスクスコア
bos6,8680.433
fulfill-A15,7260.576
fulfill-B32,0650.438
fulfill-C10,0820.453
iron57,0450.423
maze-A1270.605
maze-B2080.813
orz4,8950.229
rand-A6,6420.330
room-A5800.591
room-B6670.658
合計134,9055.55

11インスタンスの中ではmaze-Bの相対スコアが最も高く0.813、完了タスク数ではironが57,045件で最大でした。課題ごとに地図構造、ロボット密度、遅延条件が大きく異なるため、一つの設定ですべてを解くのではなく、問題特性に合わせた設計が必要でした。

どのような競技だったのか

League of Robot Runnersは、倉庫物流や製造現場を想定し、多数のロボットが継続的にタスクを処理する問題を扱います。2026年は、経路計画とタスク割り当てに加えて、ロボットの動作遅延という不確実性が導入されました。

メインラウンドは2026年4月14日から7月22日(AOE、UTC-12)まで実施され、69チームが合計3,361件を提出しました。Combined Trackでは、参加者が次の3層をすべて実装します。

  1. Task scheduling:どのロボットにどのタスクを割り当てるか
  2. Path planning:ロボット同士が衝突しない経路をどう作るか
  3. Execution policy:予期しない遅延が起きたとき、計画をどう安全に実行するか

評価対象は単発のゴール到達ではありません。時間内に完了したタスク数を増やし続けるlifelong MAPFであり、計画品質だけでなく、再計画時間、スケジューラ、実行時の詰まり、メモリ使用量まで結果を左右します。

コンテスト期間中にできたこと

Rovnouの開発リポジトリでは、異なる地図や遅延条件に対して一律の設定を当てるのではなく、問題ごとのボトルネックを測定しながら改善を進めました。

地図別の実行方式

ロボット密度、通路幅、回転コスト、計算可能な時間は地図ごとに違います。プランナー、スケジューラ、エージェント上限、計算時間配分を地図ごとに切り替えられる構成を整えました。

経路ガイダンスと距離推定

向きを考慮した距離推定、交通流を意識したガイダンス、交差点や狭通路の診断を追加しました。距離が短いだけの経路が、フリート全体では渋滞を生むケースを観測できるようにしています。

タスク割り当て

全タスクを毎回総当たりするのではなく、候補の絞り込み、距離テーブルの再利用、並列計算を検証しました。経路計画だけではなく、「次にどの仕事を選ぶか」が全体スループットを決めることを確認しました。

狭い出入口の停止検出と復旧

room系の地図では、一つの出入口に複数のロボットが集中すると長時間の停止が起きます。待ち状態、依存関係、出口を塞いでいるロボットを診断し、限定的に復旧を試みる仕組みを実装しました。

再現可能な計測

PlanViz、ログ解析、同一バイナリのA/B・ABBA比較、ビルドと実行元を確認するprovenanceチェック、回帰テストを整備しました。CPU使用率や内部テレメトリが増えただけでは改善とせず、完了タスク数で採否を判断するための基盤です。

首位No Man's Skyはどのように実装していたか

提供された26ページの資料「No Man's Sky team — League of Robot Runners 2026 solution」には、首位チームのアーキテクチャ、プランナー、スケジューラ、地図別設定、87回の提出履歴が記録されています。

1. メインスレッドを軽いディスパッチャに限定

シミュレータから毎tick呼ばれるメインスレッドでは重い探索をせず、状態取得、非同期ジョブの起動、結果の回収、計画の反映に集中しています。

タスク割り当てはバックグラウンドのスケジューラスレッド、経路計画は非同期ワーカーが担当します。プランナーワーカーの中では、LNSワーカー、距離表を作るGoalRowsプール、World予測用のスレッド群が動きます。

2. 未来の実行境界を予測するWorldモデル

実行中のプリミティブ、遅延、すでに渡した行動列、タスク進捗を保持するWorldモデルを構築し、次に計画が必要になる境界まで状態を進めてから探索します。

地図特性に応じて、次の3方式を使い分けています。

モード特徴主な適用先
SYNC_STEP実状態から同期的に計画。予測誤差はないが計算時間が短いmaze、room
STEP次の境界まで予測し、tick間で非同期計算fulfill-A/B、iron、orz、bos、rand-A
LEAD_STEP境界直前に起動し、予測精度と計算時間を両立fulfill-C

3. EPIBTXと並列LNS/ALNS

PIBT系の優先度継承・バックトラックを拡張したEPIBTXで初期解を構築し、その後に複数ワーカーのLarge Neighborhood Searchで局所的な待ちや詰まりを改善します。

初期解の構築は品質を保つため単一スレッド、改善段階を並列化する分業です。LNSでは複数のdestroy operatorを使い、Adaptive LNSが改善量と計算時間から選択確率を更新します。

4. 複数actionをまとめて予約

各ロボットについて、FORWARD、左右回転、WAITを組み合わせた複数actionの候補を評価します。頂点だけでなく有向辺も予約し、正面衝突や横から同じセルへ侵入する競合を防ぎます。

前回計画の未実行部分を次回の初期候補に使うplan inertiaも採用されました。資料では、warehouse系の地図でこの仕組みが大きな改善要因だったと説明されています。

5. 正確な距離をスケジューラとプランナーで共有

スケジューラは各ロボットについて近い100タスクを候補にし、疎なHungarian法とgreedy割り当てを組み合わせています。ロボットからpickupまでの距離と、タスク内の移動距離には、向きを含む有向グラフ上の距離を使います。

経路計画側では次の仕組みを組み合わせています。

  • Guidance Graph:レーン方向や進入禁止を距離計算へ反映
  • PriorityField:交差点にいるロボットの優先度を調整
  • HeuristicMatrix:向きを含む正確な距離表
  • DynamicHeuristicMatrix:混雑を距離へ重ねる動的オーバーレイ
  • GoalRows:巨大なiron地図で必要な目的地行だけをバックグラウンド生成

6. 地図固有の仕組みを選択

資料で報告された最大の改善は次の3つです。

変更対象報告された改善
lane Guidance Graphorz+152%
LEAD_STEPfulfill-C+91%
GoalRowsによる正確な距離iron+66%

汎用係数を一括調整するより、地図固有のボトルネックに合う計画モードとヒューリスティックを選ぶ方が大きく効いたとまとめています。

7. 87回の提出を学習サイクルにした

No Man's Skyの資料によると、87回の提出の約3分の1は回帰または切り分け実験でした。複数変更をまとめた提出で大きく悪化した経験から、最終的には「一度に一つの変更を測る」ことを教訓にしています。

なお、SmartPathやTrzy Kwaterkiの実装方法については、今回確認した資料だけでは裏付けられないため推測していません。

Rovnouにとっての意味

締切時点8位という結果は、Rovnouが11種類の大規模シナリオを通して、タスク割り当て、経路計画、遅延下の実行制御を一体で検証した成果です。

一方、競技スコアは実倉庫での安全性、通信、既存FMS連携、保守性を直接証明するものではありません。Rovnouでは、競技で得た次の知見を、実環境で検証可能な交通管制ソフトウェアへつなげていきます。

  • 地図や密度に応じて計画方式を切り替える
  • 未来予測と実状態からの同期計画を使い分ける
  • 経路計画とタスク割り当てを共通の距離モデルで結ぶ
  • 変更の効果を実スループットで再現可能に測る

参照資料